僕は君を警察へつき出す気はありません。
ただ、僕の推理が正しいかどうかを確めたかったのです。
エゴイスト・・ですね。
事件解決のために突き詰める。その凄まじい突進力で。
江戸川乱歩の小説に登場する架空の私立探偵。『D坂の殺人事件』で初登場。この際の姿は、タバコ屋の二階に間借りしており、喫茶店で冷やしコーヒーを嗜む、定職を持たない貧窮書生であった。服装には無頓着で、木綿の着物によれよれの兵児帯、髪はモジャモジャ。にこにこといつも笑顔を絶やさず、痩せ型で、変に肩を振る歩き方をし、興奮するとモジャモジャの髪を掻き回す癖がある(この人物像は、のちに横溝正史が自作の探偵とした金田一耕助によく似ている)。この『D坂の殺人事件』では、着ていた浴衣の派手な縞柄による錯覚から、友人の「私」から犯人と疑われることとなっている。探偵小説好きで、四畳半しか無い下宿先の自室は、四方を寝る場所もないほどの本の山に埋められている。愛煙家で、歳はこの時点で「二十五を越してはいまい」と劇中察せられている。乱歩は明智の起用をこの『D坂の殺人事件』一作だけにするつもりでいたが、評判が良かったため、『心理試験』で再登場して以後、乱歩の代表的探偵キャラクターとなった。『魔術師』事件で懇意となった文代を妻としているが、その他の家族は描写されていない。『吸血鬼』事件以降、15歳くらいの小林という少年を助手として、潜入捜査や斥候役を担わせている。文代は少年探偵団シリーズの中盤から『長年の病気で高地療養に行っている』という説明で登場しなくなり、以後は小林少年と一緒に明智探偵事務所で暮らしていると説明されている。明智小五郎は、戦前から映像作品に登場している。戦後は子供向けの「少年探偵団」物が数多く製作された。1994頃には「乱歩生誕100周年」に合わせ、相次いで初期作品が映像化された。「もじゃもじゃ頭に書生姿」の明智が登場している作品もある。